———じゃあ、さっそくだけど、今回の公演、どうですか? 人数は大丈夫?(笑)
みやっち「あ、人数はぜんぜん大丈夫です。4人いるんで、ちょうどいいくらい。経験者が3人、初心者が1人、しかもチーフ経験者は2人いるのでバランスもいい感じですね」
———音響さんはどうですか?
立吾「いや~…(笑) まあ、経験者は2人いるんですけど、どっちもスケジュールぎりっぎりっていう…なので、チーフをバトンタッチしながら活動しています(笑) 本当に、経験者が2人とも居るときはないんじゃないかっていうくらいで。うまくバトンタッチが成功するかが勝負。バトン落としたら終わるぞ、みたいな感覚ですね」
———他の3人は皆初心者?
立吾「初心者ですね」
———じゃあその人たちを音響の世界に導かないとね(笑) 音響さんは年中人員不足だからね(笑)
立吾「そうですね~、やっぱ経験者が少ないとキツいです」
「そして人生はつづく」
スペシャルインタビュー 第二弾!
公演に参加しているキャスト・スタッフさんにあれやこれや聞き出して、
この作品をより深く理解していこうという、この企画。
第二弾は、演劇には欠かせない、音響と照明のスタッフをしている守田立吾さん(立吾)と宮崎陽菜さん(みやっち)に色々お話を伺いましょう!
照明 宮崎陽菜× 音響 守田立吾
Plofile
観光学部2年。
その愉快なキャラクターのため、みんなから「タモ~~~」と呼ばれ愛されている。
ゲキケン以外にも演劇系のサークルを掛け持ちしており、様々な場所で活躍している。ゲキケンでは音響をやることが多いが、他の公演では役者もこなすマルチな才能の持ち主。
守田 立吾
Plofile
文学部2年。
宣伝美術をやるつもりが照明にハマってしまい、それからほぼずっと照明を担当し続けている。2年生ながら既に3回目のチーフを務めており、技術はもはやベテランの域。
普段は「みやっち」と呼ばれているが、そのスタイルと顔立ちから、「ゲキケンのジョン・コナー」と名高い。
宮崎 陽菜
———今日のインタビューは、音響の立吾と照明のみやっちです、よろしくお願いします!
立吾・みやっち「「お願いしまーす」」
———今回、音響のM(使用する音源)は演出さんから『こういうのが使いたい』っていう意思表示がたくさん出ているって聞いたけれど。
立吾「そうですね。だから、音集め自体はつらくないけど、入り期間(公演直前の2週間、全員で集中して作業する期間)に入ってから場が回るのかな、っていうのは心配ですね」
———今回は効果音にこだわっているんだよね?
立吾「そうですね。今回は自分たちで録音した音源にこだわろう、っていう話になっていて。なので、結構いろんなところに録音に行っていますね。最近は鎌倉に行きました。いや~、良かったです(笑)」
———へえ!ロケしてるんだね!ちなみにどんな音を撮ったの?
立吾「海の音とか…神社に行って、おみくじをシャカシャカしている音とか…あと、ちょうど奥で祝詞が読まれていたので、それをバックにお賽銭の音が聞こえる、っていう音も撮りました」
———へえ~、生音源かあ…、あ、ご飯粒ついてるよ(笑)
立吾「えっ」
みやっち「あはは(笑)」
———2人ともそれぞれ音響、照明を担当することが多いと思うんだけど、音響・照明がやりたくてゲキケンに入ってきたの?
みやっち「いや、そんなことはなくて。はじめはむしろ、宣伝美術に興味があって入ったんです。でも、1年生の6月公演のとき、とりあえず初参加だし、本番に関われるって聞いたので、ちょっと照明やってみようかな、と思って入ったら…なんかハマっちゃった(笑)」
立吾「俺もな~、役者やろうと思って入ったんだよなあ。役者やろうと思って入って、でも最初(1年生の6月公演)だし、ちょっとスタッフで様子見るかな、と思って(笑) で、様子見で入ったらなんやかんやで音響に配属されて、今に至る(笑)」
———外小屋(学内のスタジオで、ゲキケンとして公演を打つのではなく、外部の団体に参加すること)と8月公演では役者をやっているよね?
立吾「そうですね、立教内の別の団体でもちょっとずつ役者やったりはしているんですけど。そろそろ(ゲキケンでも)役者やりたいな、とか思ったり」
———じゃあ、なおさら後継者を見つけなくちゃね。
立吾「まあでも、同期にも音響できる人いるので。なっちゃん(現2年)とかいでみ(現2年)とか。(役者も)できなくはないかなって」
みやっち「まあ仮に皆が戻ってこなかったとしても、何かあった時にフォローとか、やり方を教える、くらいはできるからね」
———それでも、誰かしらの代打が絶対いないとね。
立吾「代打ほしいなあ~」
みやっち「いや、照明のほうが代打いないから(笑) 皆1回経験して、満足して、(元の部署へ)帰っちゃうんで(笑)」
———何でこんなに後継者に困窮しちゃうんだろうね、毎回。
みやっち「何ですかね…私らが悪いんですかね(笑)」
立吾「俺らが悪いのはホントある(笑)」
———いやいや、上の代もそうだったから(笑)
みやっち「1個上の代もいないし…」
———1個上は役者が多いからね。
みやっち「まあでも私の場合は、麗さん(現3年)とかいたりもするし…」
———なかなか音響照明って定着しないよね…。
みやっち「1回で辞めちゃう子に聞くと、やっぱり1回で満足しちゃう、らしいです。オペできたしいいや、みたいな。1公演1公演がワークショップみたいな感じです(笑)」
———世知辛い…!今後『何度もやりたい!』っていう子が来てくれるといいね。
立吾「ま、実は俺は初チーフだけど」
みやっち「ま、言うてチーフ3回目だけど…(笑) 3回目になってしまったけど…(笑)」
———初めてなんだね、逆にね。
立吾「『あ、部署会議…あ、チーフ会議…あ~』みたいな…戸惑いが(笑)」
みやっち「大丈夫、私も3回目だけどよく分かってないから(笑)」
———今回、演出からどういう風に指示が出ているのかな? 他の部署に聞くと、『今までと違って結構特殊だ』っていう声が多いんだけれど。
みやっち「それは照明も一緒ですね。今回は実験の日っていうのを作って、スタジオを使える日にスタジオを借りて、『こういうのやってみたいよね』っていうアイデアを試しています。今まで灯体の前にかざすモノって言ったらゼラくらいしかなかったけれど、他にいろいろなものをかざしてみたらどうなるのか、っていうことを試したり…。あっ、ゼラっていうのがあって…(笑)、光の色を変えるフィルムのことです(笑) 今までは、ゼラ会議っていうものを、入り期間の、しかも公演直前くらいに照明だけでやっていて、そこで決めたものを演出さんに見せていたんです。でも、今回はあらかじめ実験の日にいろんなゼラを見せて、演出さんから『これは〇〇のイメージ』っていう、演出さんの中のイメージを自分たちがもらう、っていうことをやっています」
———入り期間前にスタジオに行って照明の実験…。新しいね、確かに。
みやっち「そうですね、実験っていうかもう、本当に自由研究みたいな感じで。とりあえず皆、試したいものがあったら持ってきて、『これをかざしてみよう』とか、『あれやってみよう』とか…。今までは、演出さんから『ここはこういう風にしたい』って具体的に言われて、それをどう実現するか、っていうところに注力していたんですけど、今回はこっちからいろいろな案を提示していくっていうことが多いんです。だから、今までの経験がどうこうじゃなくて、逆に初心者の子がふとやってみたことが、『あ、それいいね!』ってなったりすることもあるので、そういう意味では新しいですね」
———そういえば今まで、ゼラ会議って照明だけでやっていたもんね。音響さんはどう? さっきは演出さんがMのアイデアを出すって聞いたけれど、音響さんからアイデアを出すってこともあるの?
立吾「演出さんには『何か思いついたら出していいよ』と言われているので、『あ、これいいんじゃない?』って思ったら、提案してみようとは思っています。でも、基本的には演出さんが決めてくれる感じではありますね」
———音響さん、いつもなら入り期間に入ってから音探しをしているもんね。
立吾「そうですね。今回はもう録音も始められているので、入り期間に入ってからは足りない音を録音しに皆でわーって行くくらいですかね」
———楽しそうだよね。この前は音を撮るためにお祭りにも行っていたみたいだし。
立吾「撮りましたね。今回は録音音源にこだわっていて、偶然性とか…『偶然この音が鳴っちゃった』みたいなものを『あ、いいね』って思えるようにしたいと思っています。スピーカーも、いつもは均等に聞こえるようにっていうことを大事にしているけれど、今回は逆にアンバランスさを楽しもうとしている節はありますね。遠くの方から聞こえなきゃいけない音が逆に近くから聞こえてみたりとか、普通は小さい音なんだけどそれをどデカい音量にしてみたり…その逆も然りです」
———これは…音響・照明がついてからの通し(本番のように最初から最後まで続けて稽古すること)が楽しみだね。音響・照明がつくとガラッと雰囲気が変わるからね。
立吾「あと、今回は音源の編集も結構難しくなってくるかな…。いつもは、既にデータとしてある音源を編集して流しているんですけど、今回は録音の生音なので、ちょっと編集も難しくなるんじゃないかな、いつもとは違う感じの編集になってくるのかなって」
———じゃあ、新しい試みだからこその課題も増えてくる、と。
立吾「増えてくるというか、もう完全にいつもの課題とは別の課題が見えてくるかな、って感じですね
———今回は客席もいつもと違うから、音響・照明もそれに合わせて変わりそうだよね。
立吾「そうですね。役者のセリフが、環境音によって消される、っていうのも、それはそれでいいな、と思っていて。さすがに全部はダメですけど、どこかのセリフ1個とかは…消したいなって」
みやっち「結構、今までは『ここはこうしなきゃいけない』みたいな感じで、セリフが聞こえなきゃいけないとか、ここで人の影が出ないように、かぶらないようにしなきゃいけないとか、そういうことを考えてやっていたんです。でも、今回はそれに対して演出さんが柔軟で、偶然性を大事にしてくれる演出さんなので、それも結構新しい気がする」
———四方が客席だからこそ、観る位置によって影が変わったりもするよね。
みやっち「そうですね、たぶん、『こっちの人から見たら、こっちの影のほうが濃く見える』とかもあるかもしれないですね」
立吾「ずっと思っていたんだけど、灯体足りるの? 絶対灯体足りないって俺思ってたよ!」
みやっち「ん~まぁ、無理やり生み出して、60灯ちょいくらいですかね…。結構(数が)必要になってくると思うんですよ。去年の秋公演では、72灯使ったんですけど、無理やり72灯作り出して、やっと『できた!』みたいな感じだったんで…。去年はSFで、いろんな色を使って場面ごとに色で印象を変えていたので、それだけ多く使ったんです。でも、今回は別にそういう舞台じゃないんですよ。色がこう、何色も出て、場面ごとに変えて、とかそういうことじゃないんですけど、でも結構灯体は使いそうな気がしていますね。足りるかなあ? って感じです」
立吾「言っちゃえば、実際、スピーカーの数も足りてない(笑) もうしょうがないけど、スピーカーは多ければ多いほど(良いので)…ね(笑)」
———じゃあ、そんな悲喜こもごもある音響・照明さんですが(笑)、今までに失くして悲しかったモノってありますか?
みやっち「失くして…もう、長い人生で見てですか?」
———そうだね。長い人生で。
みやっち「失くして悲しかったモノは…失くしたらなんでも悲しいですけど(笑) 一番悲しかったモノは…いや、まだ失くしてはないんですけど、もうすぐ誕生日なので、もうすぐ10代を失くすんですよ…今一番悲しいのはそれですね…ティーンエイジャーを失うっていう」
———華の10代が。
みやっち「もう、あと3日(インタビュー当日は10/5)くらいなんですけど。ホントに今、悲しい(笑)」
立吾「俺は…え~なんだろ…わりと、失くしたものなんて多すぎて」
———なんだか言い方が格好いいな。
みやっち「失くしたモノが多すぎる(笑)」
立吾「ただただ物の管理が悪いだけなんですけどね。週1ペースで何かしら失くしてる」
———いちばん大きい失くし物は?
立吾「何だろうなあ…家の鍵とか…リアルに家の鍵は困る」
———生々しいな(笑)
立吾「ホントに…『あ、やっべ』と思って。家族皆が出払ってるなか、俺はもう、2限とか3限とかに行かなきゃいけないのに、家の鍵を失くした時の、あの…『(授業)切るか?』みたいな、ね」
———授業切るの(笑)
立吾「『いや、ちょっと待てよ』みたいな…そこから推理が始まる(笑) 『そうか、ここにあったんだ!』って(笑)」
———タモの名推理(笑) 名探偵タモ(笑)
みやっち「名探偵タモ(笑)」
———片づけるの苦手な人って、過去の自分ならここに置く、みたいに心理戦やるって聞いたことある(笑)
立吾「いや、もう俺心理戦プロなんで(笑)」
みやっち「自分にしか効かない心理戦(笑)」
立吾「『洗濯機が回ってる…? ! あのズボンのポッケの中にあるな!』みたいな(笑) 『…どうしよう、この洗濯機…』みたいな(笑) リアルに困りましたね(笑) パスポートも困ったけど」
———パスポート?! 海外で?!
立吾「いや、家で、あと3日くらいで海外旅行行く、みたいなタイミングで、『パスポートねえな』みたいな。『ちょっと待てよ…』って言って、あの時の推理はやばかった(笑) 半年前の自分を推理して、『ここだ!』って(笑)」
———しかもそれ、見つかったの!?
立吾「見つかりましたよ!」
———凄い…。半年前の自分との心理戦…。とりあえずモノは決まった位置に置こう?(笑)
立吾「あはは(笑) いちばんヤバかったのは、41度の熱が出たときに、保険証を失くしたことに気づいたとき(笑) 『あっヤバ、保険証なくした、詰んだこれは』と思った…。もう、『お母さん、探して…』っつって(笑)」
みやっち「お母さんの名推理は(笑)」
立吾「推理しないよもう、物量作戦で家の全体を探して何とか見つけてくれた(笑)」
———モノの管理は気を付けよう!ってことで(笑) じゃあ、これくらいかな。ありがとうございましたー!
立吾・みやっち「「ありがとうございました~」」